雨の後

5月です。日本はゴールデンウィークですね。日本の今の季節は特に新緑が美しいと思いますが、こちらもこの2日ほどの雨で緑がだいぶ濃くなった気がします。アメリカは街でも木が大きいのが好きです。

今日はほぼ一日ブルックリンにいました。久しぶりのジャズのリハで、聴いたことはあっても弾いたことのなかった曲を演奏して、なるほどこういうコード進行だったのかと、新たに気付くことがありました。

日曜はDuke Elingtonの誕生日ということでラジオで彼の特集をやっていたので聴いていました。最近歳を取ったせいもあるのか、こういう古いジャズを聴くと落ち着きます。

New England Folk Festival

今週末は、New England Folk Festivalでの演奏のためマサチューセッツ州へ。ボストンと、ロードアイランド州のプロビデンスの中間くらいにあるマンズフィールドという町での開催でした。New Englandというのは、アメリカの東海岸のニューヨーク以北の地方全体を指す言葉で、マサチューセッツ州、コネチカット州、ロードアイランド州、メイン州、バーモント州などが含まれる地域です。この地域はアメリカに最初に移民が入っていた地域でもあるため、特に当時の伝統が色濃く残り、また人々がそれを残して、伝えていこうという意識を感じます。

着いてみるとそこらじゅうで、ジャムっていました。演奏しているのはほぼスコテッシュ、アイリッシュ、そしてオールドタイム。こんなたくさんのフィドルを見たのも初めてです。

土曜は、マルチイストゥルメンタリストのLarry Ungerや、Brendon Taaffeら、フォーク系の素晴らしい音楽家3人と自分での演奏でした。4人が順番に自分の用意した曲を弾いてそれについて説明していくというイベントで、このメンツだけあってみんなしゃべりも長けている中、正直結構きついものがありましたが、とてもいい経験になりました。

日曜は、日本の曲を演奏するコンサート。これまた初めての試みでしたが、なんとか終わりました。皆さんからの質問等もたくさん飛び交い、こちらも逆に勉強になった部分も大きかったです。もうちょっと本格的に勉強しようと思いました。
自分のコンサート終了後その足で、前述のLarry Ungerの”Rare Instrument Concert” というのを見てきました。その名の通り、珍しい楽器のコンサートで、全く見た事もない楽器の連続でした。
Larryとの一枚
 

WK

2月に取材を受けたジャズギターブックが今月19日に発売されるということです。
自分の最近の音楽のこと、ギターのことのことなどいろいろと話しました。自分の記事以外にも、ジャズギターの魅力が満載ですので、興味のある方はお近くの本屋に立ち寄って下さい。

昨日は久しぶりにギタリストのWayne Krantzを見にマンハッタンのiridiumへ。Tim Lefebvre(bass)とKeith Carlock(drums)とのオリジナルトリオ。なんとも言えないユニークな音楽で洪水のような音の中に浸りました。タイムズスクエアの近くなので観光がてら聴きにきている人達もいたようですが、ジャズクラブと思いふらっと入ったらこの爆音トリオできっとびっくりしてたことでしょう。

ライブを聴きながら、随分昔ボストン時代にWayneに習っていた頃、自分の曲を持っていって弾いてみると、「そのコードの押さえ方は、世界中の何十万というギタリストがすでにやってる押さえ方だから面白くない」というようなことを言われたのを思い出しました。多くのギタリストが模倣から自分の道を切り開く中、彼自身模倣していた時期ももちろんあったようですが、その後意識してギター音楽を聴くのをやめ自分の音楽をひたすら追究してきました。そんなミュージシャンです。いい刺激をもらいました。

 話は変わりますが、少し前にHiroya Tsukamotoのfacebookのページが出来ました。チェックしてみて下さい。

New England

4月になりようやくぽかぽかとしてきました。

今月末に出演予定の、マサチューセッツ州で行われるNew England Folk Festivalに向けて少しずつ準備をしています。40年以上続いている伝統あるフォークフェスで、様々なアコースティック系の音楽家たちが集まるようでいろんな人達を見るのも楽しみです。

 今取り組んでいるのが、昔の尋常小学校唱歌をギターでアレンジするというもの。自分の祖父母の年代、大正時代生まれの人達が特に接した歌をどう弾くか、構想を練っています。それらの曲はおよそ100年程前のものですが、こうして弾いてみると、大正時代にもなれば音楽的には西洋の影響がかなり大きいということが分かりました。とはいえシンプルな中にも歌詞などは深く、西洋の和音と日本の情感が混じり合った良い曲も多いです。

Earl Scruggs

バンジョー奏者のEarl Scruggs(アール・スクラッグス)が亡くなったという知らせを聞きました。88歳だったそうです。

現在のブルーグラスのバンジョーのスタイルは彼によって確立されたといっても過言ではないと思います。洗練された右手のパターンは今聴いてもぞくぞくするものがあります。

自分自身高校の時に、知り合いのおじさんから”Foggy Mountain Banjo”というレコードを借してもらいました。よくある話かもしれまんせんが、針を落としA面の1曲目の”Ground Speed”が流れたときの感覚は今でも覚えています。形容しがたい、艶やかな音色とスピード感に一発でやられました。このアルバムは全曲インストで、大名盤です。彼の若かりし頃の映像があるのでよかったら見て下さい。

Moonshine Show

3月も終わりに近くなってきました。早いものです。

この週末は初めての顔合わせでギグでした。若い人達が集うブルックリンのWilliamsburg。金曜の夜というのに加えて暖かくなってきたのもあってか、外に出る人が一気に最近多くなったようです。ギターのTim Clementのトリオ。カントリー奏法にも精通した今まであまり接したことのないタイプのギタリストで新鮮でした。

土曜はロングアイランドへ。町の喧噪から離れ、郊外に出るとほっとします。

ここ最近日曜の午前中は、ラジオを聴くことが多いでのですが、ニューヨークのWKCR局の“The Moonshine Show”という番組にはまっています。トラディッショナルなブルーグラスばかりかける局で、自分にとってはいい曲ばかりです。オンラインでも聴けます。日本時間は日曜の午後11時からの放送です。

ポッドキャスト

アコースティックギターの音楽を紹介しているアメリカのminor 7thの3月/4月号のpodcastでソロアルバムから紹介されています。今回は、アコギ一本で独自の世界観を作っているイタリア人ギタリストSergio Altamulaと共に、”The Music of Sergio Altamula and Hiroya Tsukamoto”ということで放送されています。興味のある方は聴いてみてください。

minor 7th podcast / March/April Issue 2012

Marzo

早いもので3月に入りました。
ここ何日かは寒い日が多いです。
先月からニュージャージーにちょくちょく行っています。マンハッタンからバスで20分ほどで、ハドソンリバーを越えるとニュージャージー州になります。写真は対岸からのマンハッタンの夕暮れ。
先週メンフィスで薦められて購入したメンフィスのソウルバンドThe Bo-Keysの”Got To Get Back”を気に入って聴いています。8人編成のバンドで、土臭さがなんとも良いです。
昨日は友人のギタリストNils WeinholdのギグにKitanoまで行ってきました。ギターも作曲も非常にアドバンスで、久しぶりに聴いたコンテポラリーなジャズの演奏でした。普段はもの静かな彼ですが、いざライブとなると音と内容の情報量に圧倒されました。

南部

メンフィスから帰ってきました。

今回はいろんな人にも会えてとても充実した3日間でした。金曜は、昼間メンフィスのテレビ局Ditty TVのスタジオライブで演奏してきました。その映像があるのでよかったら見て下さい。空間的にも、そしてスタッフの雰囲気も素晴らしいスタジオで演奏できて楽しかったです。

テレビのスタジオで
演奏の前

夜は実際のライブでした。初めての人達にも聞いてもらえてありがたかったです。今回このようなフォークのイベントに参加できて、アメリカのフォーク、アコースティック音楽の世界の深さを実感しました。

日本人はメンフィスにはいないだろうなあと思っていたのですが、今回のイベントのスタッフとして来られていたのが、Alanさんとますみさんの夫妻でした。ますみさんの地元が京都で、メンフィス出身のAlanさんも京都に16年住んでおられたということで盛り上がり、メンフィスを車でいろいろと連れていってもらいました。おかげで南部を満喫できました。

ギブソンの工場の前でAlanさんと
メンフィスはミシシッピ川のすぐそばにある町で、ブルースの故郷と呼ばれるミシシッピデルタにあります。こういう所からブルースが出て来たのかと思うと感動的でした。最終日は、南部のレコードレーベルStaxのスタジオがあった場所に連れて行ってもらいました。Staxといえば、Otis Reddingのようなソウルです。そんな人達がかつてレコーディングしたスタジオです。
ミシシッピ川
ブルースピアノの大御所Memphis Slimのかつて住んでいた家
そして今回、自分のライブの後、憧れのギタリスト二人とセッションすることができました。日本でもギタリストとして知られるMuriel Andersonと、Allman Brothers Bandにも在籍したことのあるナッシュビルの 職人系ギタリストJack Pearsonです。とても楽しい時間で、終わったのがもう夜中を回っていました。
左がMuriel, 中央がJack